痛くて不快な身体の緊張。
肩こり首こり頭皮のコリ。
なかなかいなくなってくれない、いつもの所にいるあいつ(コリ、緊張)。
身体の中で緊張するのは普段よく使う場所、偏って使う場所です。
例えば現代人でいうと、スマホやPCを見る時に前かがみになりがちなので、重い頭を支えるために首や肩がこりやすいとされています。
同じように思考回路にも、人によってよく使う回路とそうでない回路がある。
人とコミュニケーションをとっていて、相手から望ましくない反応が返ってきた時に
「自分が劣っているからだ」
と思いがちな人もいれば
同じ反応を受け
「自分の愛情が足りなかったからだ」
と思いがちな人もいる。
見えないのでわかりにくいのですが、よく使う思考回路も身体と同じく緊張を抱えています。
緊張している場所は、長い間負荷がかかっている場所とも言えるので、ヒーリングしてほぐす対象であると同時に、武術であればそこにエネルギーを加えることでバランスを崩せる弱点でもあります。
身体の緊張と思考の緊張。
両者をほぐすのに有効となる共通のアプローチは、逆サイドに目を向ける。
例えば身体の緊張でいうと、肩こりや首のコリは、スマホやPCの長時間使用などで肩甲骨・首周りを動かさず負荷がかかりっぱなしな事が主な原因。
その逆サイドとなると、その部分を動かして負荷を分散させる。
これにより、柔軟性が増し血行が良くなる。
例えば腕を曲げる筋肉(上腕二頭筋)が過収縮して緊張しているなら、逆サイドとなる腕を伸ばす筋肉(上腕三頭筋)を使う。
収縮する筋肉と逆の働きをする筋肉は伸ばされるので、結果的に緊張が緩和される。
思考に関しても同様で、逆サイドに目を向けてみます。
身体や思考回路の緊張をほぐすことで得られる、リラックスの先にあるもの
身体と心は密接につながっています。
何らかのミスをして上司や取引先に詰められたり、重要なプレゼンを前にして気持ちが緊張する。
その状況に身体が反応し、血圧や心拍数を高め目の前の危険に備えるための交感神経が優位となり、視野が狭くなる。
この時の視野は、物理的にも心理的にも狭くなります。
例えば興奮する男に刃物を突きつけられたら、私たち一般人であれば視点は刃物に集中、極度に視野が狭まり、避難経路や身の周りで使えそうな武器、男をなだめるコミュニケーション手段には考えが及びません。
そういったわかりやすい場面での瞬間的な緊張は自覚しやすいのですが、長年の蓄積による緊張は常態化しているため自覚が難しい。
例えば人前で話したり、自分の感情を表現するのがおっくうに感じている人の場合。
そうでない人に比べて「おっくうに感じる」という思考回路がたくさん使われ緊張しているので、視野が狭くなっています。
「自分のアイデアを何十人の仲間に発表する場をセッティングして、気持ちをこめて皆に伝える」
などの発想は、出来る出来ないを判断する以前に緊張により視野が狭まっているのでそもそも出てこない。
この「そもそも出てこない状態」が本人にとってはノーマルだと思っているので、思考の緊張は身体の緊張より自覚が難しい。
身体の緊張がほぐれリラックスすると副交感神経が優位となり、視野が広がります。
同じように思考回路の緊張がほぐれることでも、視野が広がり選択肢が増え自由度が上がります。
「選択肢が思い浮かんだとしても実行出来ない」
これも「実行出来ないという結果が出てくる思考回路」を多く使っている事からくる緊張ですが、まず新しい選択肢を思いつける状態にするのが一番最初です。
逆サイドとは?思考回路の緊張をほぐす具体的アプローチ
子どもの運動会で肉離れを起こすお父さんたち。
肉離れは、一方の筋肉(例えば脚を伸ばす筋肉)が過剰および急激な収縮をし、それと拮抗するもう一方の筋肉(例えば脚を伸ばす筋肉)が過剰に伸ばされたことにより、後者が断裂してしまう現象です。
原因は加齢、ウォーミングアップ不足、筋肉疲労などいくつかありますが、柔軟性不足や拮抗筋同士の筋力差も原因として挙げられます。
緊張の放置は柔軟性の低下を招きますし、拮抗筋(逆サイド)を無視した偏った使用も怪我の可能性を高めるので、アスリートもそこには注意を払います。
例えば握力を鍛えるハンドグリッパーで、1回閉じるための負荷が100kgを超えるような製品シリーズがいくつかあるのですが
このような高負荷で「手を握る力」を鍛える強者たちは、怪我の防止のために日常でも競技でもほぼ使う事のないと思われる「手を開く力」も鍛えています。
特定の思考回路の緊張を解くためにも、同じアプローチをします。
つまりよく使う回路の逆サイドを意識する。
いきなり逆サイドを使い始める事が出来たらそれがベストですが、まずは目を向けるところから始めます。
よく使う思考回路の逆サイドを、垣根を越えて意識する4ステップ
①ストレスがかかった時に自分がよく使う思考回路を自覚する
上で書いた通り、身体の緊張に比べ思考回路の緊張は目に見えない分自分では気づきにくい。
なのでまずは、比較的わかりやすくかつパターン化された反応が出やすい、ストレスがかかった時に自分がどういう思考をしているか認識してみます。
その瞬間には難しくても、ストレスが過ぎ去って少し落ち着いてからなら自覚しやすくなります。
②その思考回路の逆サイドを考える
例えば恋人と喧嘩した時に
「あっそ。じゃあ好きにすれば?」
という思考回路がよく使われるとします。
これは言い換えると「対話を避け、自分の世界を守ろうとする回路」とも言えます。
その逆サイドは、「対話を通して関係を修復しようとする」
良い悪い、快か不快かを評価する前に、まず認識してみます。
③抽象度を上げて、よく使う思考回路と逆サイドの共通点を見出だす
上の例だと、両者ともに「より自分にとって心地良い状態を目指す」という共通点があります。
そのアプローチが真逆なだけで、目指しているものは同じ。
これがわかるだけでも、自分の現実の外側にあった逆サイドの選択肢が視界に入ってきます。
④逆サイドの濃度を、実行可能なところまで下げて実行する
「あっそ。じゃあ好きにすれば?」の回路の緊張度合いによっては、いきなり「逆サイド、対話しよう!」は現実的な選択肢として臨場感が持てない場合があります。
その場合、「対話して関係を修復しようとする」の濃度を落としてみます。
例えば「対話して関係を修復しようとする」のハードルがあまりに高く感じる場合、「(より自分にとって心地良い状態を目指すために)とりあえず相手の話を最後まで聞いてみる」まで濃度を下げる。
その際気を付けたいのは、緊張している思考回路と逆サイド共通の目的「より自分にとって心地良い状態を目指す」を意識すること。
そしてそれを実行することで、緊張した思考回路がほぐれ視野が広がり選択肢が増えます。
当然そのアプローチが目的(=より自分にとって心地良い状態)を達成出来るかはやってみるまでわかりませんが、出来なかったとしても相手から新しいフィードバックを貰えるので、それをもとにまた新しい選択肢が増えます。
緊張した思考回路を使い続けていると過去を再生するだけですが、逆サイドに目を向け緊張をほぐす事によって、視野が広がり過去の延長とは違う現実が出てくる。
怪我を防止するよりもはるかに大きいメリットかと思います。
感想や掘り下げて欲しいところ等あればお気軽にコメントやお問い合わせください、それでは!
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