つくった人たちの想いで出来ている空間・ジブリパークに行きました。

文化

世界的に有名な数々のジブリ作品たち。

その世界を現実に再現したジブリパークに先日足を運んで来ました。

再現すると言っても、ジブリパーク創設の総指揮をとった宮崎吾郎さんは

作品のコピーをそのまま作ればいいわけではない

と言っています。

いわく、

ジブリパークには作品には登場しないものもあるし、完全に100%再現したわけではない。そういう意味では本物ではない。

しかし来てくれる人が見たり聴いたり触ったりする体験は本物。

私たちはそういった意味での本物を提供出来れば良い。

バーチャルリアリティはいやだ。

今回の記事に登場する吾郎さんの言葉は、すべてこちらのドキュメンタリーからの引用です↓

ジブリパークができるまで。 [第1期]

上記の吾郎さんの想いに応えんとする職人さん方の奮闘も描かれています。

この4本のドキュメンタリー全て観たうえでジブリパーク内施設の建設に関わった人に案内してもらったので、あの空間をつくった人達の想いが、自分の体験・五感を通じてより伝わって来ました。

ジブリパーク以前に同じ地にあった温水プールや、愛・地球博記念公園(モリコロパーク)へのリスペクトなど、ジブリの枠を越えたところへの作り手の想いも含め、ジブリパークで感じたことを書いていきます。

歴代施設へのリスペクトと、「受け継いだもの」を大事にする意識

まず入口のゲートで印象深かったのが、真ん中に「EXPO 2005 AICHI」右側に「ジブリパーク」の文字があったこと。

そしてゲートの各柱に飾られた円形のレリーフの内、ジブリパークのものは右端の一枚だけだったことです。

他の3枚は、モリコロパークや愛知万博など歴代施設に関するもの。

先人への敬意を忘れない姿勢に、入る前から日本的価値観を感じました。(宮崎駿監督はこの表現をかなり嫌うでしょうけど)

さらにジブリパーク内にあるジブリの大倉庫はもともと大型の温水プールで、そこで使われていたものは出来るだけ取り壊さず残す方針で建設を進めたそうです。

今回ジブリパークを案内してくださった方(以下Tさん)いわく

昔の建物は今とは建築基準が違ったりもするので、全部取り壊して作り直したほうが予算もかからず工事も容易だが、そうすると産廃がたくさん出る。

予算が高くついても出来るだけ環境に対して負荷をかけないように、使えるものは残して建てる方針だった。

歴代施設や自然環境など、ジブリの枠を越えて受け継いだものを大事にする意識を強く感じました。

実際に五感を使うからわかる、作り手のこだわりと子ども目線

冒頭で述べたように、吾郎さんは五感のリアリティを重視しており、実際に装飾タイルやネコバスを触ると吾郎さんの、そしてこれらを形にした職人さん達の想いが伝わってきます。

これらのタイルはすべて職人さんの手貼り。

撮影禁止エリアだったので写真はありませんが、ネコバスルームのネコバスは作品とは異なる柄で、表面のカーペットを張る職人さんは「立体的に表現するのはチャレンジング」と、おっしゃっていました。

そのネコバスの手触り、押した感触も子どもが心地よく遊べるように作られたようです。(大人はそのコーナーに入れないので触れませんでした;;)

先述のドキュメンタリー番組では吾郎さんが実際に現場を訪れ、イメージ通り出来ているかを確認し必要があれば修正というステップを踏み、職人さん方もそれに協力する形で確認しながらの作業をしていました。

今回案内をしてくれたTさんいわく、現場では2週間や1週間に1度のペースで変更の指示があったが、吾郎さんは現場の声をしっかり聴いてくれる方で言いっ放しということはなかったそうです。

その吾郎さんはドキュメンタリーの中で

子どもが喜ぶ姿を見ると、大人も幸せ

と言っており、色んな所に子ども目線の空間デザインが見られました。

例えば大人は絶対にスルーしてしまうが子どもは覗き込んでしまう所にトトロが隠れていたり、子どもの目線まで落とすと良い角度で見ることが出来たり。

そうして子どもが喜ぶ姿を見て大人も喜ぶ。

子どものいない私もなんだかホッコリしました。

「真に子供のためのものは、大人の鑑賞に充分たえるもの」

これは宮崎駿監督の言葉ですが、ジブリパークもジブリ作品同様この言葉にぴったりの空間でした。

スタジオジブリ物語

大人だけで行くとしても大人として楽しむだけではなく、自分の中の子どもを喜ばせ、他の子ども達が喜んでいるところも楽しめると楽しさ3倍増、そんな空間でした。

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