日本語にせよ英語にせよ、話者が少なく消滅が危惧される言語にせよ
言葉には、その言語が持つ世界観が表れます。
例えば普段何気なく使っている、そしてよく耳にする「ありがとう」という言葉。
そして、なぜか最近の日本人はあまり使わない「どういたしまして」という言葉。
これらのやまと言葉の裏には、どういった世界観が隠れているのでしょうか。
言葉の選び方一つで、相手からの印象も自分の感じ方も大きく変わるにもかかわらず
私たちはそういった言葉の力に気づかないまま過ごしてしまっていることが多い。
なぜか周りに好かれる人と、なぜか周りが離れていく人。
「また会いたい」と思われる人と
「2回目のデートは無しでいいかな」と思われる人。
今回は、その違いが出るひとつの要因として「異性からも同性からもモテる世界観と言葉遣い」をテーマにお送りします。
「世界をどう見て、どう言葉にするか」が言葉遣い
ここで言う”モテる”とは、単に恋愛対象として好かれることではありません。
「この人と一緒にいるとエネルギーが湧いてくるな」
「また会いたいな」
そう感じてもらえるような、人を引きつける空気の質のようなものを、ここでは”モテる”とします。
あなたがこれまで出会った人たちの中にも、そう感じさせた人がいるかも知れません。
そうした”モテ”のベースには「世界をどう見て、どう言葉にするか」という世界観があります。
言葉遣いには、その言語が持つ世界観と、その人自身が持つ世界観の両方が反映されます。
例えばこの記事の冒頭で出てきた「ありがとう」という言葉。
これは元々は「ありがたし」、つまり「めったにないこと」という意味から来ています。
要は、「これは貴重な体験です」ということを表す言葉です。
つまり
- 恋人から誕生日プレゼントをもらって「ありがとう(これは貴重な体験です)」。
- 自社のサービスを受けてくださったお客様に対して「ありがとうございます(これは貴重な体験です)」。
- トラブルに見舞われた自分のために色々と動いてくれた友達。それに対して「ありがとう(これは貴重な体験です)」。
という意味になります。
やまと言葉の世界観を表す、よくよく考えてみると奇妙な表現
私たちが使う言い回しの中には、よくよく考えてみると奇妙な表現があります。
それは例えば、お客さんにお茶を入れる時に
「お茶を入れました」
とお伝えするのではなく、
「お茶が入りました」
という言い方をしたり
お母さんが晩御飯を作った時に
「ご飯作ったよ」
ではなく
「ご飯できたよ」
と呼びかけたり。
これはよく考えると、不思議な言い回しです。
自分が「お茶を入れ」ているのに、自分が料理を「作って」いるのに、どうして「お茶が入りました」とか「ご飯ができた」なんて言い回しになるのか。
それはこれらの言葉の背景には、「お茶もご飯も自分一人で作ったものではない」という大前提があるからです。
どういうことかと言うと、例えばご飯を作る時
調理に使う食材に宿る・宿っていた命だとか、育んでくれた自然や人々、またその食材たちが自分の手に届くことに携わったさまざまな人々。
それらすべてのおかげでこの料理が完成して、もちろん自分も手を加えてはいるんだけども、自分一人の力でご飯を作ったわけではない。
だから「ご飯作ったよ」ではなくて「ご飯できたよ」という言い回しになります。
そんな前提の違いもあってか、個人的には「ご飯作ったよ」より「ご飯できたよ」のほうが食欲そそられます笑

「ありがとう」と「どういたしまして」のセットが持つ世界観
話を「ありがとう」に戻します。
「ありがとう」の対になる、「どういたしまして」は元々どういう意味なのでしょうか?
これは「私が何かしましたでしょうか? いえ、何もしていません」という意味です。
つまり、「ありがとう」と「どういたしまして」のセットは
- 「自分が親切にするのは当たり前」
- 「何かをしてもらうことは、恵まれてる」
という世界観から来ています。
しかし私たちはついつい真逆の世界観を持ってしまいがち。
つまり
- 「やってもらって当たり前」
- 「自分がやることは、やってあげてる」
というマインドを持ってしまいがちなのですが、どちらの方が異性からも同性からもモテる世界観なのか、言葉遣いなのか。
おそらく「何かをしてもらうことは恵まれている」と思う人の方に自然と人は集まる。
そちらの方が望む現実が増えるのであれば、そちらの世界観と、その世界観から出てくる言葉遣いを採用する。
例えば自分が家にいる時に怪我をしてしまって、外で仕事中のパートナーに絆創膏を買ってきてもらうことを頼む時
「絆創膏買ってきて」
と一言だけメッセージを送るのか
それとも
「お疲れ様です。怪我をしたので帰りがけに絆創膏買ってきてもらえると嬉しいです」
といったメッセージを送るのか
表面的に伝えていることは一緒ですが、相手が持つ印象はだいぶ変わります。

すべての言葉遣いをいきなり変えられなくても、メッセージのやりとりなど、時間的余裕をもって意識的に変えられるところから少しずつ変えていく。
自分の口癖を観察してみて、モテる世界観の言葉遣いは増やしていって、そうではない言葉遣いは引いていく。
言葉遣い、口癖という今までスルーしていた現実に光が当たる機会になったのであれば嬉しいです。
感想やご質問、掘り下げてほしいところ等あればお気軽にコメントやDMください!それでは!
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