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世界観

オウム真理教をはじめとする「終末カルト」の起源

投稿日:2018年7月13日 更新日:

お久しぶりです。最近更新出来てませんでしたが暑さにやられながらも生きてます。

さて原爆、水爆、化学テロ。

この3つの共通点は何か。

 

 

 

 

 

 

 

 

答えは、最初の被害が日本人。

 

ふたつの実行と無数の未遂

 

2018年7月6日の朝。

麻原彰晃こと松本智津夫はじめ、オウム真理教の元幹部ら7人の死刑が執行されました。

 

オウムといえば1994年松本サリン事件、1995年地下鉄サリン事件

計21人が死亡したこの両事件が頭に思い浮かぶかと思います。

 

前者は、当時長野県松本市の住民からオウム支部の立ち退きを求めて起こされた訴訟がきっかけ。

敗色濃厚と見たオウムは、住民への報復として裁判所宿舎から数百メートル離れた駐車場にサリンを散布。

 

後者は、警察の捜査をかく乱するため警視庁のある霞が関駅に対してテロを実行したものでした。

…ここまで読んで違和感を覚える人もいるかも知れません。

あれだけの死者を出した惨劇にしてはあまりに理由が軽いと。

 

実は両サリン事件だけではなく、オウムは衆院選落選後の1990年から多くのテロを計画しています。

 

猛毒のボツリヌス菌を培養し、トラックや風船爆弾を用いて日本全土に散布することを計画(培養に失敗し頓挫)

93年皇太子成婚パレード中、教団施設屋上から皇居に向かって炭疽菌を散布(幸い死傷者ゼロ)

 

仏敵と称し、いくつかの創価学会支部にボツリヌス菌と炭疽菌を散布(こちらも死傷者ゼロ)

「池田会長」にもサリンを散布しようとしていたようです(警備員に怪しまれ早々に撤退)

 

このような行為に至った彼らにはどういう思想があったのか。

 

時折仏教団体として言及される彼らですが、実はキリスト教の終末論が大きく影響を与えています。

 

世紀末とキリスト教

 

キリスト教の終末論とは、「ヨハネ黙示録」に描かれた世界の終焉。ざっくり説明します。

 

神の怒りの日が訪れ、世界が滅ぼされる。

 

その時メシア(ヘブライ語で救世主の意。ちなみにギリシャ語ではキリスト)であるイエスが王の姿をとり、天の軍勢を率いる。

 

天上でサタン(悪魔)の使いと大戦争。サタンは敗れ地の底に封じられる。

地上では信者たちが死からよみがえり、イエスの統治が千年続く(千年王国)。

 

千年経過すると、今まで地上にいた全ての人間が生き返って最後の審判を受ける。

 

悪い人間は滅ぼされ、良い人間は復活する。既存の天地は消え失せ、新しい天地が神の光に照らされ永遠に栄える。

 

とこういった趣旨のものです。

 

キリスト教原理主義者が作った国アメリカでは、この黙示録的終末幻想が20世紀に広まり、「終末カルト」とよばれる宗教団体がいくつも誕生しました。

 

20世紀に広まった理由としては世界大戦の経験やイスラエル国家の建設、流動性の高まる世界への不安などが挙げられています。

 

中でもオウムと似ているのが1993年にFBIやATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)と直接抗争を演じたブランチ・ダビディアンという団体。

 

1930年代から数百人規模のコミューン(自治体)を築き、「ハルマゲドン(最終戦争)」に備えライフル・機関銃・手りゅう弾を大量に備蓄。

 

ATFの強制捜査に銃撃戦で抵抗、FBIが戦車や武装ヘリまで駆り出して鎮圧することになりました。(教団死者81名)

彼らはテロこそ起こしていませんが、コミューンとサティアン(オウムの教団施設。信者はここで共同生活)、兵器の備蓄、終末カルトの点で共通しています。

 

1991年、『キリスト宣言』なるものを松本元死刑囚は刊行しています(なんとまだAmazonで手に入る)

 

 

千年王国の主になろうとした松本元死刑囚

 

日本の「カルマ落とし」を済ませ全土をシャンバラ(チベット奥地にあったとされる聖地。ちなみに『ポア』もチベット語)化、天皇を廃し主権者として神聖法皇(松本元死刑囚)が統治する。

 

日本という国号も廃止し、真理国、オウム国、神聖真理国などのいずれかにする。

 

法律は「大宇宙の聖法」を前提とするので議会制は廃止。

 

他にも色々ありますが彼が考えていたことはこのようなものです(詳しくは降幡賢一著『オウム裁判と日本人』)

 

チベット密教やヨガの要素ももちろん多く入っていますが、自分が「千年王国」の主として君臨するあたり思想の枠組みはキリスト教終末論のそれです。

 

発生から20年以上が経過し忘れられつつありますが、無差別化学テロを実行する終末カルト集団が、なぜ日本にだけ生まれたのか。

 

哲学や宗教について考えさせる教育(布教ではなく。)の一定の必要性を感じた事件でした。

今回の記事も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

ブログの趣旨がよくわからないという方はこちら↓をお読みください。 

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今まで知らなかったことに興味を持って頂けたなら嬉しいです。 

 

それでは! 

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平成元年生まれ男。

4tトラックに左足を潰されしばらく体を動かせなくなる。

時間が余りまくったため、心理学・脳科学・世界史・日本史・宗教・神話・哲学・国際政治・地政学等を学ぶ。

2019年5月から8月にかけて中華人民共和国→モンゴル→ロシア→ポーランド→チェコ→スロバキア→ハンガリー→オーストリア→イタリア→ギリシャ→トルコをおもに陸づたいで放浪。

旅日記↓

https://note.mu/tyamadasan

現在は名古屋にいます。

連絡先:tyamadasan410@gmail.com