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言語

言語なくして思考なし(3) 言語に束縛される現実

投稿日:2018年2月23日 更新日:

言霊という概念があります。

「ありがとう」「嬉しい」などポジティブなことを口にすると良いものを招き、

「辛い」「つまらない」などネガティブなことを口にすると悪いものを招くという日本独自の信仰。

 

内容スカスカな自己啓発系ビジネス書でもよく見かける考え方ですが

言葉が現実を束縛するという意味では、あながち遠からずかも知れません。

 

No Language No Human

 

私達が何かを考える時、世界を見る時。脳は言語を用います。

考えるはわかるが世界を見るとは?

 

例を挙げます。

 

ネズミ・二歳児・大人を対象としたある実験にて。

 

  • 被験者は長方形の部屋にいます。短い壁のうち一面だけが真っ黒で、残りの三面は真っ白。
  • 被験者に見せながらその部屋のひと隅に物を隠す。
  • 被験者には目隠しをしてぐるぐる回ってもらったあと物を取りに行ってもらう。

 

当然大人はほぼ100%隠し場所を突き止めます。

 

次にネズミ。ネズミは白黒も壁の長さも識別できます。

が、色の手がかりと部屋の形の手がかりを同時に使うことは出来ないらしく

正解率は50%となりました。

彼らは部屋の形のみに頼っており、正しい隅とその対角線の隅で半々。

 

最後に二歳児。結果はなんとネズミとまったく同じ。

正しい隅と対角線の隅をランダムで選ぶというところまで一緒です。

 

これが5~6歳になると大人と同じく100%近くになり、

さらに4歳でも「右」「左」の言葉を正しく使える子どもは必ず正解の隅に向かっていく。

“一時的に言語を使えなくした”状態で大人に同じ実験をしました。

物を隠すところからぐるぐる回るまでの間、ヘッドフォンから物語が流れておりそれを復唱し続ける。

 

つまり言語は他のことに使われているため、位置を特定することには使えない。

すると彼らはネズミ・二歳児とまったく同じ行動をとりました。

隠す瞬間を目撃しているのにです。

 

 

無自覚の言霊

 

このように「物の位置」という、言語のまるで必要なさそうなことでさえヒトは言語を使って処理しています。

つまり普段何気なく過ごしている時も、頭の中では無意識に言語フィルターがかかる。

 

飼っているペットのことを、普段「彼」と呼んでいる人と「あれ」と呼んでいる人とでは

呼ばずともペットを見た瞬間に抱く気持ちが違う=実際の扱いも変わってきます。

言語(言葉)は現実を束縛する。

 

 

言語と数学能力

 

では見るからに頭を使うようなことではどうなのか。

たとえば数学。

 

一般に東アジア圏の子どものほうが英語圏の子どもより算数・数学が得意とされています。

 

日本語で数字を表す時、1(いち)から10(じゅう)まではそれぞれ独立した読み方ですが

それ以降は11(「じゅう」「いち」)、12(「じゅう」「に」)と既にあるものを組み合わせていくだけ。

中国語も同じく規則的な十進法で数えます。

マージャン好きな方はおわかりですね。

韓国語もそう。

 

これに対し英語では11以降はeleven,twelve,thirteen…twenty,twentyone…thirty…

と日中韓に比べると単純ではない。

つまり頭の中における言語を使った手続きが繁雑になります。

 

英語を読める方はこちらご参考に↓

https://www.wsj.com/articles/the-best-language-for-math-1410304008

 

もちろん親の教育熱もあるでしょうが、言語は無関係ではない。

ある研究者が同じ5歳児で中国語を母語とする子どもと英語を母語にする子どもの計算能力を調べたところ、

前者ではかなりの数の子どもが10を超える足し算をこなしたのに対し、後者ではひとりもいなかったそうです。

 

言語(言葉)は現実を束縛する。

今回は以上です。

 

今回の記事も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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平成元年生まれ男。

4tトラックに左足を潰されしばらく体を動かせなくなる。

時間が余りまくったため、心理学・脳科学・世界史・日本史・宗教・神話・哲学・国際政治・地政学等を学ぶ。

現在はポーカーからゲーム理論に入り、いわゆる理数系ジャンルも少しずつ勉強中。

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