感性を見つめる×ちゃんと考える

感性=縦軸(生物としての特性、歴史、遺伝、経験)×横軸(時代、文化、社会)。感性を大切にしつつそれだけに身をゆだねない。5月からユーラシア大陸放浪

言語

言語なくして思考なし(2) 言語はレンズ

投稿日:2018年2月17日 更新日:

前回の続きです。

言語がもつレンズとしての役割についてお話します。

 

「言語の違いは世界観の違いでもある」という話を前回しました。

ではどの言語を用いているかによって、見える世界も変わるのか。

 

レンズの映し出す奇妙な世界

 

あなたがパソコンに向かっているとしたら、日本語では「パソコンの″前″にいる」と表現します。

しかしそうではない言語もあります。

 

たとえばメキシコ先住民・テネパパ族のテネパパ語(名前はどうでもいいんで忘れてください)

この言語では、ものの位置をすべて東西南北で言います。

 

「あの木の前にいる」ではなく「あの木の南にいる」

「テレビの前にリモコンがある」ではなく「テレビの東にリモコンがある」といった具合

 

彼らは農耕民族で、村から遠く離れることはあまりない。

 

そこでオランダの研究チームが歩いて10㎞ほど離れた場所に連れていき、家の方向を指してもらってみたところ

非常に正確な位置を示しました。

 

比較のため頻繁に森へキノコ採取に行くオランダ語話者を対象に同じことをしてみたところ、

テネパパ族の足元にも及ばずみなバラバラの方向を指す。

 

もうひとつ。

日本語の「わたる」という言葉

英語では通常go across(go cross)と訳されます。

用法が100%重なるわけではない。

 

たとえば「踏切をわたる」「川をわたる」「綱をわたる」とは言いますが、

「公園をわたる」「テニスコートをわたる」とは言いません。

日本語の「わたる」は、出発点と到達点の間に何らかのへだたりを含むニュアンスを持っているからです。

何もないのは「通る」所。

英語ではこの区別はせず、どちらもgo acrossでひとくくりです。

 

 

言語と思考回路

 

これを踏まえた上で。

生後14か月の赤ちゃんと生後19か月の赤ちゃんを対象としたある実験が行われました。

まず人が線路を横切るシーンを何度も見せ

そのあと2つのシーンを同時に見せます。

1つは最初と全く同じ(線路を横切る)シーン。

もう1つは同じ映像の、場所だけ変えたシーン。

場所は道路(つまりへだたり有り)とテニスコート(このシーンではネットをまたがないので、へだたり無し)の2パターンを用意。

 

赤ちゃんは新しいもの好き。

飽きるのも早いですが、さっきまで見ていたものと違うと思えばそちらに注目します。

日米の赤ちゃんをそろえてシーンを見せてみたところ…

14か月目のグループでは全く差はなく、両者ともに場所が変わったほう(テニスコート)に注目しました。

が19か月目のグループでは違いが。

日本の赤ちゃんは変わらずテニスコートに注目しましたが、

米国の赤ちゃんはノーリアクション。

 

 

使用言語がヒトに与える影響

 

テネパパ族やこの実験は

 

ヒトは生まれた時は様々なことを見分け・聞き分けることが出来るが

言語を学んでいく内に、その言語で必要とされる区別以外には注意を払わなくなる

 

ということを示しています。

※日本の赤ちゃんも生まれてしばらくは「l」と「r」の発音を聞き分けられることがわかっている

 

言語・言葉はコミュニケーションだけでなく、思考にも不可欠なものなので母語レンズの影響はきわめて大きい。

 

私達は色んなフィルターを通して世界を見ていますが、その最初が言語。

そういった観点で英語学習に取りくんだり外国人と接してみると新たな発見があるかも知れません。

 

今回の記事も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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現在はポーカーからゲーム理論に入り、いわゆる理数系ジャンルも少しずつ勉強中。

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