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米国

アメリカの自己啓発市場が日本の10倍である歴史的理由

投稿日:2018年1月19日 更新日:

 

自己啓発プログラムの名産地

 

自己啓発書。恐らく一度は読んだことがあるかと思います。

 

スティーブン・R・コヴィー氏の7つの習慣

 

ナポレオン・ヒル氏の思考は現実化する

 

デール・カーネギー氏の道は開けるなど

 

古典的名著といわれるものはほとんどがアメリカ発祥。

 

タイトルにもある通り自己啓発産業の市場そのものも、日本の10倍以上の規模を有しています。

 

日本 年間9049億円

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018010701000884.html

 

米国 年間110億ドル(約1兆2000億円以上)

19 Self Improvement Industry Statistics and Trends

 

日本の人口約1億2000万に対し、米国は3億2000万人超なので単純比較は出来ませんが

それを計算に入れても3倍以上です。

 

 

世界的に特殊な人工国家 アメリカ

 

なぜこう違うのか。

 

それは、アメリカ合衆国自体が

旧世界(移民する前に住んでいた世界)を捨てて「新大陸」に移った移民により、ガシガシ開拓され作られた特殊な人工国家であることと

 

その最初の主要メンバー、つまりピルグリム・ファーザーズキリスト教原理主義者であったことが理由として考えられます。

 

 

ピルグリム・ファーザーズとは、ざっくり言うと本国イギリスにおいて宗教的にもめてキリスト教徒にとっての理想社会を作るため北米大陸に移った人たちです。

 

上陸は1620年。

 

開拓精神が自己啓発につながるということはなんとなくわかるかと思いますが、最初のメンバーがキリスト教原理主義だから何なのか?

 

企業を見ればわかる通り、創業者の影響は創業者が亡くなった後世代が変わっても続きます。

 

それは国家も同じで、その影響は企業よりさらに強く深く残ります。日本やチャイナも同様です。

 

 

ミッションステートメント

 

ではキリスト教と自己啓発に何の関係があるのか。

 

西洋型の自己啓発では、まずビジョンやミッションを決めてから具体的な目標(長期・中期・短期)に落とし込む手法がよくとられます。

 

そもそもこのミッションmissionという言葉自体

キリスト教の「伝道」という意味があり

 

たとえばキリスト教主義学校のことをミッションスクールといったり

正常位のことを英語でmissionary position(宣教師が未開の地で推奨した体位)といいます。

 

で、

 

ビジョンやミッションを掲げる

 

=この世に(まだ)存在しないものを設定する

 

わけですが

 

良い悪いはともかく、神という存在するかしないかよくわからない抽象度の高いものをテーマにして、互いを悪魔だと思って戦争をするまで神学論争を重ねたヨーロッパ人は

 

このこの世に(まだ)存在しないもの、または抽象度の高いものを設定することに非常に長けています。

 

カトリックとプロテスタントが血で血を洗いまくった三十年戦争(1618-1648)を境に、ヨーロッパではキリスト教原理主義の動きは収束していきました。

 

しかしピルグリム・ファーザーズは、三十年戦争終結の前に北米大陸に渡った人たちなので

 

ミッションやビジョン(キリスト教徒にとっての理想社会)を掲げてそれを成し遂げようという情熱には凄まじいものがあります。

 

そうしたミーム(遺伝子以外の遺伝情報。習慣・技能・物語)が脈々と受け継がれ、今日の巨大な自己啓発産業につながっているわけです。

 

 

日本(日本人)の長所と短所

 

多くの日本人は「あなたのミッションやビジョンは何ですか?」と言われても、即答出来ないのではないでしょうか。

 

「一流の通訳になる」や「弁護士になる」などは抽象度が低すぎてビジョンとは言いません。

 

たとえば前者であれば「日本と世界をつなげる」

 

後者であれば「社会正義を広く実現する」

 

ここまでいくと抽象度が上がっているため、ビジョン・ミッションといえる。

 

(「通訳・弁護士になる」は自分について述べているだけだが「社会」「日本」「世界」と、対象とする領域が広がっている

 

現代日本人は具体的なところは得意だが、抽象的なところは苦手とされています。

 

具体的なところ=目に見える。現場、技術、ものづくりなど

抽象的なところ=目に見えない。世界観、戦略、マネージメントなど

 

戦略の世界に

 

現場の司令官までを日本人、大佐までをドイツ人に。将軍をアメリカ人にすれば世界最強の軍隊ができる」

 

というジョークがあります。

 

実際、防衛大学安全保障・危機管理教育センター長を務めた太田文雄氏によると

 

米国国防総合大学の「戦略的リーダーシップ」課程の冒頭で行われる自己診断テストを

日本の統合幕僚学校の学生にもやらせてみた結果。

 

最も戦略的な発想のできるタイプが

米国は学生全体の13%だったのに対し

日本は3%しかいなかったといいます。

 

関連記事:あらゆるジャンルに応用可能な、理解しておきたい戦略と戦術の違い

 

彼らは卒業後、米軍及び自衛隊の高級幹部になる面子。

確かに将軍はアメリカ人のほうが優秀である確率が高そうです。

 

 

見えない、触れないものに対する態度

 

自己啓発に限らず、目に見えないものに対する評価が日米で大きく異なることが、市場規模の差に表れています。

 

茶道を少々たしなんでいるのですが、安い報酬で稽古を依頼してくる老人介護施設に

私の先生が言われたそれを象徴するセリフ。

 

『お茶の原価はおいくらですか?(それ基準で報酬決めるから)』

 

相手(先生)が現在の立場・知見に至るまでに費した時間や経験・スキルを無視した非常に失礼な発言だと感じました。

 

米国の著名な国際政治学者が、日本での講演にノリ気だったにもかかわらず提示された激安ギャラに憤慨して断ったという話もあります。

 

これを「金の亡者」とディスるのは一面的な見方でしかありません。

 

物質偏重に見える米国のほうが、日本より見えないものをリスペクトしている。

 

タイトルの答えを一言で表すとこうなります。

 

今回の記事も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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今まで知らなかったことに興味を持って頂けたなら嬉しいです。 

 

それでは! 

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運営者:やまてつ

平成元年生まれ男。

4tトラックに左足を潰されしばらく体を動かせなくなる。

時間が余りまくったため、心理学・脳科学・世界史・日本史・宗教・神話・哲学・国際政治・地政学等を学ぶ。

2019年5月から8月にかけて中華人民共和国→モンゴル→ロシア→ポーランド→チェコ→スロバキア→ハンガリー→オーストリア→イタリア→ギリシャ→トルコをおもに陸づたいで放浪。

旅日記↓

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現在は名古屋にいます。

連絡先:tyamadasan410@gmail.com