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欧米

シチリアがマフィアの名産地である理由を歴史からひも解く

投稿日:2019年11月15日 更新日:

料理・建築はじめとしイタリア本土とはまた違う文化を持ったシチリア島。

 

この記事では、なぜこの島がマフィアの生誕地となったかについて述べています。

 

マフィアとは何か

 

マフィアと聞いて何が思い浮かぶでしょうか。

 

古くは映画のゴッドファーザー、チャイニーズマフィア、スマホゲームのマフィアシティ…

 

色々あるかと思いますが、マフィアとはもともとシチリア島に存在する伝統的な犯罪組織のみを指す。

 

彼ら自身は「俺たちのもの」を意味するコーザ・ノストラと名乗る。

 

 

勢力が衰えたとはいえ彼らは今も健在で、ニューヨークに基盤を置くファミリーと連携してかつての権勢(後述します)をもう一度取り戻そうとしているようです。

 

↓FBI・イタリア警察がシチリア島と米国で19人逮捕

参考記事:FBI and Italian police arrest 19 people in Sicily and US in mafia investigation

 

 

マフィアの本拠地・シチリア州都パレルモ

 

この記事で出てくるPalermoパレルモという街ですが、1993年までは反マフィアの裁判官が奥さんと護衛もろとも爆殺されるような事件が起こる物騒な場所でした。

参考記事:Sicilians dare to believe: the mafia’s cruel reign is over

 

この記者は少年時代、機関銃を携えた兵士が治安維持のため闊歩するストリートでサッカーをしていたそうです。

 

今でこそ、現代史学者でコーザ・ノストラについて詳しいというサルバトーレ・ルポ教授いわく『今日のマフィア(コーザ・ノストラ)はおそらく史上最弱』とされるシチリアですが、そもそもなぜシチリア=マフィアなるイメージがつくほど彼らが強力になったのか?

 

それを知るためには、イタリアの南北格差とこの島がたどった歴史をひも解かねばなりません。

 

 

イタリアの南北格差

 

まずイタリアは南北に経済格差が存在します。

 

北部に位置するミラノやジェノヴァなどは栄えており、平均給与も高い。

 

↓ミラノ

 

南部のナポリなどに行くと雰囲気が変わってくる。

 

↓ナポリ

 

恣意的に写真を選んでる感はかなりありますが、ナポリはマジで落書きとゴミだらけ。

友達になったニューヨーカーは『Garbage everywhere』と言っていました。

 

日が落ちると出歩きたくない雰囲気。現地をよく知る人間と夜飲みに行きましたが、彼いわく『この(店の)あたりは観光客はあまりうろつかない方が良い』。

 

2018年の平均給与額はイタリア北部のボルツァーノ(トレンティーノ・アルト・アディジェ州)が€1,500で最も高く、次いでヴァレーゼ(ロンバルディア州)€1,459、ボローニャ(エミリア=マーニャ州)€1,446とトップ3すべて北部。

 

ワーストはラグーサ(シチリア州)€1,059。南部での最高はベネヴェント(カンパーニャ州)の€1,288。

参考記事:「イタリア人の平均給与から見る南北格差」

 

貧困が犯罪組織の温床となる傾向は世界共通ですが、イタリアもこのご多分に漏れません。

 

 

南イタリアにおける「外国人」の冷徹な統治

 

南部イタリアは貧しいだけではなく、さまざまな「外国人」に幾度となく侵略され、植民地化された悲しい土地でもあります。

 

とくにシチリアを支配した外国を列挙すると

 

ビザンツ帝国(東ローマ帝国)、ファーティマ朝(エジプトのイスラム王朝)、シュタウフェン朝(ドイツ)、アンジュー王朝(フランス)、アラゴン王国(スペイン)、スペイン・ブルボン王朝、ハプスブルグ家(オーストリア)

 

当然ですが彼らはシチリア住民の社会福祉や経済発展などまったく考慮せず徹底的に搾取する。

 

公正さを微塵も期待できない社会で、シチリア人は自らの生活を守る自衛組織を作り上げる。

 

「合法性」は支配者に独占されているので組織は非合法なものにならざるを得ない。この自衛組織がマフィアの原点です。

参考記事:Origins of the Mafia

 

いくつもの国に分かれていたイタリア半島を、1870年サヴォイア家が統一した後もシチリアは抵抗を続けた。

 

ローマに成立した中央政府は、シチリア人にとっては「外国政府」だった訳です。

 

実際シチリア方言は、標準イタリア語とかなり違うもよう。

 

在住者泣かせの【シチリア語】とは?語源別のシチリア方言集も!

 

建築も本土とはかなり違う。

 

 

↑アラブの影響がうかがえます。

 

 

第二次世界大戦・冷戦とシチリアマフィア

 

第二次世界大戦中、イタリアはベニート・ムッソリーニのファシスト党政権。

 

 

ムッソリーニはマフィアを弾圧したため彼らは反ファシスト。

 

「敵の敵は味方」の論理で、イタリア侵攻作戦の際米国はシチリア・マフィアに協力を仰ぐ。

 

米国のコーザ・ノストラの大ボス  ラッキー・ルチアーノはシチリアの本家コーザ・ノストラと連携し米国の上陸作戦を支援。

 

この延長で米国は、冷戦中反共勢力としてシチリア・マフィアを利用し、彼らの行動を大目に見る傾向にあった。

参考記事:How Suicide Squad Recalls One Time America Did Enlist the Help of Bad Guys

 

この事実はWikipediaの項目にもなるほど有名。
Collaborations between the United States government and Italian Mafia

 

1980年代にシチリア・マフィアが繰り広げた激しい内部抗争に加え、1991年のソ連&イタリア共産党崩壊による居心地の良かった反共体制の終焉。

 

1992年から1994年にかけて政界の大掃除が実施される。(マーニ・プリーテ)

 

これは、マフィアの行動(政権との癒着・腐敗)を最終的には支えていた米国がその役割を放棄したため可能となったもの。

 

1993年にはThe boss of all bossesといわれたサルバトーレ・リイナが逮捕され、マフィアはかつての勢いを失っていきました。

 

冒頭で書いたようにまだ潜伏してはいるようですが、観光客が彼らに狙われる理由はないと思われる(コスパが悪いから)現在は、気候も良く料理の美味しいシチリアは訪れるのにとても良い場所です。

 

個人的にはイタリア本土より気に入りました。

来夏のバケーション候補にぜひいかがでしょうか。

 

 

おっと誰か来たようだ。

 

今回の記事も最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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平成元年生まれ男。

4tトラックに左足を潰されしばらく体を動かせなくなる。

時間が余りまくったため、心理学・脳科学・世界史・日本史・宗教・神話・哲学・国際政治・地政学等を学ぶ。

2019年5月から8月にかけて中華人民共和国→モンゴル→ロシア→ポーランド→チェコ→スロバキア→ハンガリー→オーストリア→イタリア→ギリシャ→トルコをおもに陸づたいで放浪。

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現在は名古屋にいます。

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